青森Webアクセシビリティフォーラムを開催しました

2011年11月26日(土)、青森市のラ・プラス青い森にて青森Webアクセシビリティフォーラムを開催しました。

当日は34名の方のお申し込みをいただきました。ありがとうございました。

第1部はインフォアクシアの植木真さんから「アクセシビリティが引き出すWebの”力” ~「アクセシビリティって何?」からJIS X 8341-3:2010の概要まで~」と題して講演いただきました。

冒頭、Webがテレビ・ラジオや紙媒体と比較して何が有利かというお題で参加者同士にディスカッションしてもらうところからスタートし、障害に合わせた各種支援技術の紹介などご紹介いただきました。一概に障害といってもその種類は多岐にわたり、視覚に障害のある方には音声読み上げソフトや画面拡大ソフトなどの支援技術がある一方で、聴覚障がい者や知的障がい者の傾けの支援技術といったものは特になく、Webを構築する側での配慮が必要とのこと。

また「一時的に障がいがある人」について、たまたまメガネを忘れたり骨折するなど、健常者であってもひと時障がいを抱える可能性があるため、こういった方も含め、つまりは健常者を含めたあらゆる方にWebアクセシビリティへの配慮は必要であるということをお話されました。

その他にも植木さんが準備されてきた内容は非常にボリュームが多く、Webアクセシビリティに配慮することのメリットからJIS X 8341-3:2010に係る内容(達成基準や関連文書など)、現在WAIC(Webアクセシビリティ基盤委員会)で取り組まれていることなど、Webアクセシビリティに関する多くの情報をお話頂きました。

お話のまとめでは冒頭のディスカッションからお話されていた「Webには他のメディアにはない力がある」という言葉を再度提示され、Webができることの可能性と、それが誰でも使うことのできるようにWebアクセシビリティに配慮することの大切さをお伝え頂きました。

第2部は引き続き植木さんと、ミツエーリンクスの辻勝利さんによる「帰ってきた!辻ちゃん・ウエちゃんのアクセシビリティPodcast ~会場限定ライブ! 青森であの迷コンビが一日限りの復活!!」が行われました。

アクセシビリティPodcastといえば3年以上にわたってWebアクセシビリティに関する最新情報を発信されてきたポッドキャスト番組であり、インターネットでしか聞けなかったお二人の掛け合いが一日限りの復活となりました。

冒頭、辻さんから音声読み上げソフトの音当てクイズという非常に難度の高い導入から始まりましたが、実際に日常から音声読み上げソフトや点字ディスプレイといった支援技術を使われている辻さんのお話は、参加者の皆さんも興味津々だったようです。

複数の音声読み上げソフトを使い分けて、表組みの情報を分かりやすく読みあげることができる方法や、HTML5に対応したYoutubeプレイヤーの操作、そして辻さんがこれまた日常的に使用されているiPhoneの音声読み上げ機能を実演してくださるなど盛りだくさんの内容でした。

最後の第3部は植木さんと辻さんに加え、ミツエーリンクスの木達一仁さんにも加わっていただいてのパネルディスカッション。全体の進行役としてW3A代表(兼エイチピースタイリング代表)の高森がコーディネーターとして参加させて頂きました。

パネルディスカッションの主要テーマは「それぞれの視点で語るWebアクセシビリティ」。植木さんはガイドライン作成者の視点、辻さんは支援技術利用者の視点、木達さんはコンテンツ制作者の視点から、Webアクセシビリティに携わることになったきっかけやこれからの課題、参加者からの質問などについてお話いただきました。

Webアクセシビリティの改善についてはWCAG2.0の日本語訳など、アクセシビリティに関する情報元を改めて見返すことによって、大がかりでなく小さなことから改善を図っていけるのではというお話をいただきました。またWebアクセシビリティだけに気をつけるだけでなく、コンテンツそのもののクオリティを上げることも、ひいてはアクセシビリティの改善につながるというご意見にハッとさせられた方は多いのではないでしょうか。また、全盲の人の中で点字を読めるのはわずか1割程度というデータもあり、健常者にとっては驚きだったと思います。

サイトでよく見かける文字の拡大縮小ボタンについては植木さん、木達さんとも「誰がなんと言おうと要らない」「圧倒的に不要」というご意見。文字の拡大縮小ボタンを設置する流行が生まれた経緯(某アクセシビリティに関する審査基準の中に盛り込まれたことなど)や、この機能自体はブラウザが提供するべき機能であるなど様々なご意見をいただき(その中にはただボタンを無くしてしまえば良いというだけではなく、あらゆる前提条件についても触れられました)、参加者からも「すっきりした」という声をいただきました。

講師の皆様方からは締めの挨拶として、「Webはアクセシビリティが命(植木さん)」「ユーザーもハングリーになって、支援技術、新しい技術に挑戦していって欲しい(辻さん)」「Webの品質としてアクセシビリティをとらえるきっかけになってもらえれば(木達さん)」といったメッセージを頂き、閉会となりました。

植木さんのセッションで紹介された、@kawaji_archismさんの以下のツイートを引用された場面があり、非常に印象的でした。

CSRからウェブアクセシビリティ対応を考えた時、そもそもクライアントのCSRの前に、ウェブ屋さんのCSRじゃないの?と思う。クライアントが予算を付けてくれないから一切やらない、じゃなくて、程度の差こそあれど、できる範囲で当たり前にやるという考え方にしないと。

当日のtwitter(ハッシュタグは#awaf)で皆様から戴いたツイートは、講師の木達さんがトゥギャッターにまとめてくださいましたのでぜひご覧ください。

ここからは主催者としての話です。

青森Webアクセシビリティフォーラムは無事終わりました。今回これだけ豪華な講師の方々にお越しいただき、とても充実したイベントにできたことは大変嬉しく思っており、講師の方々、参加いただいた皆様、運営に協力してくれた身内のスタッフを含めすべての方々にお礼申し上げます。

フォーラムの最後にも申し上げたのですが、私としてはこれで終わりにするのではなく、細くともWebアクセシビリティに関する活動を続けていくことが自分にできること、Webという世界で自らが果たせるCSRの一つと考えこれからも進んでいきたいと考えています。

AjaxやHTML5などの技術的側面だけでなく、スマートフォンやタブレットPCといった新しいデバイスなど、Web技術が多岐にわたって進化していく中、Webアクセシビリティだけが止まっていて良いということは無いはずです。今回のフォーラムで高まったWebアクセシビリティについての理解と実践を、ご参加いただいた皆様だけでなく、まだ知らぬ方にも届けられるようにしていきたいと思っています。

(2011年12月2日追記:フォーラムについて書いていただいたブログをご紹介します。特に講師の木達さんには数度にわたり取り上げていただき大変感謝しております。ありがとうございます。)