今回は最後のキーワード「テスタビリティ」について考えます。

アクセシビリティの「もの差し」

JIS X 8341-3:2004の登場によって、アクセシビリティという一つの「配慮」が普及した一方、大きな課題もまた明らかになりました。それは「試験方法が規定されていない」ということです。旧規格だけでは、適合性評価も各人の裁量に頼らざるをえず、第三者による客観的評価が難しい状況でした。

このような状況に対応すべく登場したのが「JIS X 8341-3:2010 箇条8」なのです。

箇条8:試験方法

  1. 適合試験の要件
  2. 試験の手順
  3. 試験結果の表示

箇条8は、WCAG2.0の「適合性」となるべく照応するよう規定されていますが、WCAGがあくまで勧告(国際的ではあっても)なのにくらべ、JISでは工業規格であるという利点を活かし、試験方法自体の規格化に成功しています。また、具体例に乏しい新規格のなかにあっては唯一、以下の図表が掲載されており、WCAG2.0よりもとっつきやすい印象です。

  1. 実装チェックリスト
  2. 達成基準チェックリスト
  3. 試験結果表示の例(ウェブページ単位)
  4. 試験結果表示の例(ウェブページ一式)

梅垣さんによれば「2010は丁寧に、迷わないように、検証可能なかたちで書いてある。めざすのは、アクセシビリティのもの差し」。

普及から品質へ

具体的な手順やチェックリストの作成方法についてはまた後日考えるとして、最後の「試験結果の表示」の重要性について梅垣さんは、

  1. 文書化すると証拠になる
  2. 発注者や第三者が追試できる
  3. 納品されたものを合否判定できる
  4. サイトなら、うそを見破ってクレームが言える

結果として、「市場原理が働いて品質向上が見込める」。これは公共調達にもいえることです。商用にしろ公共にしろ、上記の理由でユーザ評価がいわゆる「消費者の声」といった個人的主観的なものではなく、JISベースの客観的意見として運営側も扱わざるをえないことになり、いずれは受発注の納品要件として盛り込まざるをえなくなるからです。

このように、すべての人が箇条8で定義された試験方法に準じることにより、送り手・受け手の客観的評価が可能になり、最終的にはWEBサイト自体の品質にフィードバックされていく。このような好循環をもたらす試験可能性、つまり「テスタビリティ」こそ、改正JISの大きな成果だと思います。